司法書士試験 記述対策 不動産登記 前編
司法書士試験の問題形式は、択一式、記述式の2つがあり、択一式は午前35問、午後35問の合計70問、記述式は不動産登記、商業登記が午後に出題されるという形になっています。解き方は、午前の部、午後の部で違いがあり、午前じっくり、午後さくさくというイメージで解きます。詳しくは過去の記事で紹介させていただいたので、よろしければご覧下さい。
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今回は、午後の部に組み込まれている記述試験、その中の不動産登記に絞って話していこうと思います。不動産登記は長くなりますので、2回に分けて話していこうと思います。
目次
1.択一試験の勉強の成果が記述試験対策にも繋がっている?
択一と記述は分けて考えない
記述試験対策と、択一試験対策を分けて考えた場合、勉強方法にはかなり違いがあります。
択一の勉強はテキストを読み、理解度を過去問や問題集で確認するという作業が主だと思います。一方記述試験対策は、ひな形を覚え、登記の仕方などを問題集で学んでいき、答練等で実際の問題の感覚を掴んでいく、インプットよりもアウトプットが多いイメージになります。
しかし択一試験対策が疎かにして、民法や不動産登記法の知識が薄い状態で記述の勉強をしても、おそらくちんぷんかんぷんなまま諦めることになるでしょう。民法や不動産登記法の知識がなければ、問題の意味も理解できない可能性があります。
前提知識は択一対策から
記述の勉強をスムーズに進めるためにはまず、民法や不動産登記法、一部会社法の知識も頭に入れておく必要があります。不動産登記の記述試験では、会社が当事者として登場してくるときもあります。若干ではありますが、会社と取締役の利益相反など、会社法の知識もあった方が理解するうえで、しっくりくることがあります。
不動産登記では、よく相続に関する登記が出題されます。相続の知識は民法を勉強しなければ習得することができません。相続は最近一部改正された論点でもありますので、改正点含めて割と細かいところまで勉強していなければ、記述において足元をすくわれることになりかねません。
相続以外にも、不動産登記は民法の物権編に関してはしっかり学習していないと得点できません。所有権、共有、抵当権、根抵当権は頻出ですし、最近は地上権の出題もあります。
物権だけでなく、賃借権の出題もあるので債権も学習しなければなりませんし、細かい添付書面においては総則の知識も重要になってきます。例えば、未成年者が親権者の同意を得て不動産を売り渡すなどの場合において必要になってきます。
そしてもちろん、不動産登記の記述には不動産登記法の知識も必要になってきます。不動産登記法の知識が全くない状態では問題の意味も理解できません。不動産登記の記述試験を対策を開始するうえで、まずは民法、不動産登記法の知識をある程度までは身につけておくことが条件になります。
2.最初はひな形
ひな形も手を広げすぎない
民法や不動産登記法の知識がある程度ついた状態にまでいったら、次はひな形です。不動産登記でも商業登記でも、ひな形を覚えなければ解答することはできません。
ひな形は、大抵の予備校や市販で出されているテキストでも、対策に必要なものは網羅されていると思います。最近では、所有権や抵当権、根抵当権、仮登記、処分制限の登記等以外にも、信託の登記や地上権などの登記も出題可能性があるので、その点はひな形集ではなくテキスト等である程度のひな形は押さえておいたほうがいいは思います。しかし、やりすぎると他の知識との混同や、主要な勉強の妨げになる可能性があるので注意です。
書いてある通りに覚える
大抵のひな形は、ひな形集に載っている記載の通りに覚えます。少しでも記載の書き方と違う書き方をしてしまうと、誤りとされてしまいますので注意です。
ちょっと邪道な覚え方
ひな形の学習の仕方は、何回も書いて覚えることが一番だと思います。しかし、何回書いても間違えてしまうことものもあるので、そういった場合にはいくつか覚え方の方法があります。
まず1つ目は語呂合わせやキーワード、頭の文字だけ覚える方法です。この方法は少し邪道な感じもしますが、合格できるのであれば何でも試してみるのがいいと思います。そして、この覚え方はどうしても覚えられないもののみに使用するのがいいと思います。この方法を使用するまでもないものは、そのまま覚えることが無難です。
抵当権の効力を所有権全部に及ぼす変更登記を覚える場合を例にとって考えてみます。こちらの登記の目的は、「何番抵当権の効力を所有権全部に及ぼす変更(付記)」という形になります。付記登記で行う場合後ろの(付記)は忘れやすいので注意です。
こちらを解体して覚えます。解体すると以下のようになります。
低の 効を 所全に 及変
これをまずリズムよく覚えます。本当のひな形の形を何回か見ていれば頭の文字だけ思い出せれば、あとは記憶が戻ってくると思います。
似た論点は同時に覚える
もう一つの方法は、似たようなものは一緒に覚える方法です。
抵当権の債権譲渡を例にとって見ていきます。
まず、債権一部譲渡があった後に、その債権を更に譲渡した場合の抵当権移転登記について見ていきます。この登記の目的は「何番抵当権何某持分移転」になり、原因は「年月日債権譲渡」になります。
次に、債権が元々準共有だった場合の債権持分譲渡による抵当権移転登記の場合の目的は、上記の登記同様「何番抵当権何某持分移転」になります。しかし、原因は「年月日債権持分譲渡」という形になります。
ここでの違いは原因の持分という文字があるかないかです。この違いは、登記記録を見ればなぜこのような違いが出るかわかります。移転する前の登記記録を抜粋して見てみます。
前者の登記の登記記録
権利部
乙区
1番 抵当権設定 令和1年10月30日受付第23000号
原因 令和1年8月30日金銭消費貸借同日設定
債権額 金3000万円 利息 年10%
債務者 何市何町何丁目何番何号 X
抵当権者 何市何町何丁目何番何号 A
付記1号 1番抵当権一部移転 令和2年11月19日受付第24000号
原因 令和2年11月5日債権一部譲渡
譲渡額 金1000万円
抵当権者 B
ちなみに、この後登記されるBの債権譲渡の登記は付記1号の付記1号で実行されます。
後者の登記記録
権利部
乙区
1番 抵当権設定 令和1年10月30日受付第23000号
原因 令和1年8月30日金銭消費貸借同日設定
債権額 金3000万円 利息 年10%
債務者 何市何町何丁目何番何号 X
抵当権者 何市何町何丁目何番何号
持分2分の1 A
何市何町何丁目何番何号
持分2分の1 B
上記のような違いがあります。前者の登記は、元々単有だった抵当権が準共有となって、その後、その一方が移転した場合になります。後者の登記は、元々準共有だった抵当権の持分が移転した形になるので、原因が「年月日債権持分移転」になります。
このように、一緒に覚えてしまえば覚えやすいひな形もあります。似たようなもので混同しやすいものは特に同時に覚えてしまうのがいいと思います。
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3.まとめ
長くなりましたが、ひな形の覚え方の途中まで紹介させていただきました。ひな形の覚え方についてはまだいくつか残っているので、次回後半として書いていこうと思います。
今回は、以下の点について主に話をしてきました。
- 記述の勉強の前に、択一の勉強
- ある程度の民法、不動産の知識がついたらひな形
- ひな形はとりあえず書いて覚える
- ひな形はキーワードを組み合わせて覚える
- 似たようなひな形は合わせて覚える
不動産登記のひな形は最初見たとき多いと感じますが、覚えていくうちにそれほどではないと思えるようになってきます。ある一定の特殊なひな形と、定形に近いものがあるので、それを覚えてしまえば後は自然と出てくるようになります。
4.次回の予定
次回は今回の続きから書いていこうと思います。ひな形の覚え方から、問題集の解き方等にについて主に話していこうと思います。
それでは、長くなってしまいましたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
最後に今日は、我が家のデグーさんではなく、動物園のカピバラです。インスタ、デグーブログもやってます。お時間ありましたら覗いてみてください。
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今回は本編が長くなってしまったので、受験生の日常はお休みします。